地球上のすべての生命を破壊することができる武器よりもばかげているのはそれらの武器を有益なビジネスに変える社会経済システムだけ。
もちろん、俺は今年初めに発効した核兵器禁止条約に心から喜びを感じる。これは非常に大きな達成だ。今生存している被爆者がこの歴史的瞬間に立ち会えた事を本当に嬉しく思う。彼らはもっとそれ以上に値するよ。しかしねえ?少なくともこれは正しい方向への一歩だ。
でも、一歩だけだね。そして残念ながら、条約だけでは決して十分ではないよ。
条約は単なる「戦争のルール」だよ。しかし、戦争はゼロ・サムゲーム(勝利者が全てを得るゲーム)。だから、もしルールを破ると勝つ可能性が上がるのであれば、ルールを破るだろう。勝利の戦利品はあまりにも魅力的だ。 敗北の結果は深刻すぎる。
それに、俺たちに戦争のやり方を制限する力があるのなら、いっそのこと戦争を全面的に禁止しないのか。
貪欲で暴力的であるのは人間の性質だからだと言う人もいる。 しかし、それが本当なら、寛大で平和的であることも俺たち人間の性質。
人間の本性は社会とともに変化するのが真実。
だから、俺たちが貪欲と暴力に報いるシステムに住んでいるとき、もちろん人々はそのように行動するね。
もちろん条約は役に立つけど、実際には戦争や大量破壊兵器の製造の根本的な原因を解決しない。条約はゲームの駒を並べ替えるするだけで、ゲーム自体は同じままだ。
資本主義の元では、条約は、その性質上、暴力的で冷酷なシステムの改革に過ぎない。でもそのようなシステムは戦争を終わらせることや人間の基本的要求を満たすことはできない。
俺たちが階級の分裂の社会に住んでいて、少数の人々が多くの人々を犠牲にして利益を得る限り、戦争は起きるだろう。 終わりのない経済成長と生命と自然の搾取を必要とする経済システムがある限り、戦争は起きるだろう。支配階級が、自国の寡頭政治や悪徳資本家たちより他国の一般労働者の方が脅威だと国民に思わせる限り、戦争は起きるだろう。
こう考えると、戦争と核備蓄ははるかに大きな問題の一部分にすぎない。廃止する必要があるのは地球を滅亡させる兵器だけではなく、大量破壊兵器を少数の貪欲な人々の利益に変える経済システムだ。
核兵器禁止条約の発効は、ますます多くの人々が核兵器反対の立場を公言するようになった事を示している。広島と長崎への原爆投下が「必要だった」だと考えるアメリカ人の数でさえ年々減ってきている。
この偉大な勝利をみんなで祝おう。そして、俺たちがシステムを禁止するまで、いかなる条約も十分ではないことを、これまで以上に大きな声で訴えよう。
by Peter Chordas Guitar/Vocals in Children of the Ashes
ピーターコーダス Children of the Ashesのギターボーカル